建築関係以外の皆様へ
雷と避雷針の仕組み
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Q&A
雷の事故
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よくあるご質問

Q.
 雷鳴やいなびかりに気づきました。避雷針の近くにいれば安全ですか?

A.
 いいえ、危険です。いったん避雷針に雷が落ちても、避雷針から近くにある物に雷が飛んでくることがあります。通常は人が感電で怪我するほどの電気が空気中に流れることはありません(冬にドアノブ等を触ろうとしてビリリとくる静電気ぐらいだと思います)が、雷の電気は電圧、電流とも大きいので、空気中を流れてしまいます。実際、雷雲から避雷針まで数百メートル以上はありますが、その間を流れるのが雷です。数百メートル以上の距離を流れるのですから、避雷針の近くに人がいた場合には雷が飛んでくることがあるのです。そのため、落雷がありそうな時は避雷針には近づかないでください。



Q.
 雷鳴やいなびかりに気づいた時、どのようにすればいいのですか?

A.
 建物の中や車の中に逃げ込んでください。ただし、建物や車の壁にもたれかかったり、建物の中や車の中でも屋外のアンテナにつながっているテレビやラジオのすぐ近く、金属製の窓枠のそばは危険ですので、そこからできるだけ離れてください。
 また、建物や車が近くにない所では、高い樹木から少し離れて、できるだけ低い姿勢を維持してください。ただし、頭のすぐ上に電線や枝等があるとそこを経由して雷が落ちてくることがあるので、頭上には何もないところを選んでください。なお、図の青い部分が比較的安全な場所ですが、近くの樹木に落雷があった場合には、相当な衝撃をうけることになるので、雷が直撃しにくい程度に考えてください。
雷の直撃を受けやすい場所、受けにくい場所
 これで絶対的な安全を確保できるわけではありませんが、雷の危険を低くすることができます。



Q.
 なぜ雷はできるのですか?

A.
 夏の場合は、主に地表面の近くで暖められた空気が上昇することによって(空気は暖められると体積が膨張するので、同じ空気の量でも軽くなります)、上空の水分等とこすれて静電気が貯まります。その静電気が雷です。
 また、冬の場合(主に北陸で雷が発生します)は、シベリア大陸からの寒気が、比較的暖かい日本海上空でこすれあってできた静電気が主な冬の雷です。
 その他には、火山の噴煙や台風の時等でも、静電気が発生するので、雷が発生することがあります。



Q.
 雷はどのくらいのエネルギーがあるのですか?

A.
 大小さまざまな雷がありますが、電流は大きいものでおよそ100キロアンペア、電圧はおよそ100メガボルトあるので、1億キロワットです。  ただし、落雷が始まってから約1マイクロセカンドで最大の電流の量が流れ、約40マイクロセカンドで半分に、約80マイクロセカンドで終わります。そのため、1回あたりの雷の電力量は、大きいもので約100キロワットアワーと考えることができます。



Q.
 樹木にも避雷針を取り付けることができますか?

A.
 できます。避雷針を取り付けてある樹木を見かけたことがないかもしれませんが、樹木を雷から守るため、避雷針を取り付けることができます。詳しくはこちらをご覧下さい。



Q.
 神社仏閣にも避雷針を取り付けることができますか?

A.
 できます。避雷針を取り付けることで大切な神社仏閣を雷から守ることができます。特に周りに高い建物がない神社仏閣は、雷が落ちやすいポイントの1つ。避雷針の取付をお勧めします。



Q.
 雷が多い地域少ない地域、多い時期少ない時期について教えてください?

A.
 北陸地方から東北地方の日本海側が雷が多く、北海道地方から東北地方の太平洋側が雷が少ないようです。また、一般的には7月から8月が雷が多く、10月から4月が雷が少ないようです。ただし、北陸地方から東北地方の日本海側は11月から2月に落雷のピークがきます。
 各地のデータはこちらをごらんください。


Q.
 雷で感電した場合、どのようにすればいいのですか?

A.
 すぐに病院に連れて行くことが一番大切です。しかし、一般の人が出来ることとして応急処置がありますので、ここでは応急処置を紹介します。
 まず、雷で怪我した人を見つけたら、安全な場所か確認してください。できるだけ動かさずに、その場で応急処置をするのが好ましいのですが、上から物が落ちてくるような場所であったり(落雷のため近くで何か燃えているような時は、物が落ちてくることがあります)、再び雷が落ちる可能性がある場所では危険です。周りを見渡して安全か危険かを確認してください。
 次に症状の確認です。呼びかけたり、顔をたたくなどして意識の有無を確認してください。意識がある場合には、症状が重くならないように経過を見守ってください。意識がない場合は、呼吸の有無、脈の有無を確認してください。呼吸がない場合は、気道の確保、人工呼吸、脈がない場合は、心臓マッサージを行ってください。
 火傷の場合は、清潔な冷水等で火傷した部分とその周辺を十分冷やしてください。長時間治療をうけられない場合を除き、病院で治療をうけるまで冷やしつづけてください。また、衣服が焦げて火傷した部分に付着した場合は、無理にはがさずにそのままひやしてください。
 ただし、何より大切なのは、落雷により感電しないように注意することです。雷で感電した場合、即死することも多いので、落雷がありそうなときは、安全な場所に避難することが何よりも重要です。



Q.
 落雷がありそうな時、金属等の電気をよく通すものをはずせば大丈夫ですか?

A.
 いいえ、危険です。金属等の電気をよく通す物をはずしても、落雷にあうことがあります。逆に電気を通しにくい物で身を覆っていても(例えばゴム製の雨合羽)、雷が落ちる可能性があります。
 落雷がありそうな時は、身を低くして、安全なところに避難することをお勧めします。



Q.
 マンションに住んでいますが,そのマンションに設置されている避雷針が錆びています。大丈夫でしょうか?

A.
 危険な状態と考えられます。避雷針は一度取り付けてしまえば大丈夫というものではありません。風雨にさらされるため、錆びや破損することがあります。そこで、法律では年1回以上検査をしなければならないと定められていますが、実際はほとんど行われていません。しかし、錆びや破損で十分な機能を果たせない避雷針に雷が落ちるのは危険であり、また、避雷針の一部が落下する事故も発生しています。そのため、避雷針にたずさわる会社として、避雷針の検査をお勧めします。詳しいことは、こちらをごらんください。避雷針の検査をご希望の方は、電話番号
03−3724−7281にご連絡ください。



Q.
 自分の住んでいるマンションには、避雷針がついているのですが、落雷により電話機とパソコンが壊れてしまいました。どうしてでしょうか?

A.
 避雷針は建物を雷から守るためのもので、建物の中にある物を守ることを目的にしていません。避雷針は法律により規定されていますが、昭和20年代に根幹となる部分ができているため、当時は建物さえ保護できれば、建物の中にある物で雷により壊れるものはほとんどありませんでした。しかし、現代では電子機器がたくさんあります。そのため、建物に直接雷が落ちなくても、高圧の雷の影響で壊れことがあります。
 対策としては、電話線や電線に雷による異常電圧を防ぐ装置を取り付けるか、雷が落ちる可能性がある間、コンセント等をぬいて雷の侵入経路を遮断するしかありません。これで100%大丈夫というわけではありませんが、ほとんど被害にあうことはありません。
 避雷針にたずさわる会社として、何らかの対策をとることをお勧めします。特に大切なデータ等がはいっているパソコン、高額な機械等大きな被害をうける可能性のあるものについては、何らかの対策が必要です。  なお、電話線や電線に雷による異常電圧を防ぐ装置をご希望の方はこちらをごらんください。


Q.
 落雷により被害をうける人はどのくらいいるのですか?

A.
   警察白書(昭和48年度版〜平成18年度版)によるとこのようになっています。
 皆様はこの数字を見てどのように思われましたか?思ったより少ないと感じた方が多いと思います。確かに死者・行方不明者、負傷者数は少ないのですが、停電、電車の不通・遅延、火災の発生など社会的に大きな影響を落雷はもたらしています。また、被害が限定的で、事故報告がなされないような事故については、発生件数に含まれていないと思われるので、実際の事故件数はこれより多いと思われます。特にパソコン、電話機、家庭内の電気製品のみが故障した事故は、ほとんど含まれていないと思われるので、表の数字だけで安心はしないでください。


Q.
 飛行機や船舶などの避雷対策はどのようになっているのですか?

A.
   飛行機の場合は、飛行時間3000時間から3500時間に1回程度飛行機に落雷があるようです。そのため、落雷が集中する機首や垂直尾翼などに避雷針を取り付けています。また、燃料タンク内には落雷による火花を防ぐための対策を、飛行機内の計器類には雷電流が侵入しないような対策をとっているので、現在では落雷による墜落は少なくなりました。
 船舶の場合は、大型の船舶には避雷針がついていることがあるようです。避雷針に流れた雷電流を海中に流すことで、雷から船舶を守っています。

参考文献

  • 「カミナリはここに落ちる」(著者 岡野大祐 発行所 オーム社)
  • 「新コロナシリーズ9 雷の科学」(著者 饗庭貢 発行所 コロナ社)
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